大学時代にかかったコストを振り返ってみた③(D1~D3)

2020年8月9日

 お越しいただきありがとうございます。カルフです。地方国立大学の博士課程を修了し、現在は化学メーカーで研究開発をしています。今回は、私の大学時代にかかったコストの振り返りシリーズの最終回です。博士課程の経済事情に切り込みます。今回の記事が参考になるのは、

・博士課程への進学を考えている学部生
・博士課程生活にかかるお金が心配な方
・カルフの博士課程が気になる方(いらっしゃいませ笑)

あたりだと思います。そして、今回の記事の内容を先に記すと、

・私の環境(修士までとは一変)
・コストは修士時代より減る!?ー月12万円くらいー
・お金のやりくり(修士までとは一変)
・不安を可視化することが重要

です。それでは1つずつ見ていきましょう!

私の環境

 やはり最初はここが大事です。私がどんな環境に置かれた学生だったのかを知ってもらわないと、本記事の内容に納得できないと思います。ざっくりと状況を説明すると

・ド田舎の国立大学博士課程
・1人暮らし
・博士課程進学時から独立生計者
・両親は退職

ですかね。
 これまで私の記事を読んだことのある方は知っていらっしゃると思いますが、私が通っていたのは地方 of 地方の大学でした(笑)。出身は都会の方でしたので、もちろん1人暮らしです。家は学部時代から変わっていません。通学にかかる時間は自転車で5分です。終電を気にせず実験ができる環境です(笑)。 
 そして、修士時代までと大きな変更点があります。それは博士課程進学時から独立生計者となったことです。前回までの記事に書きましたが、私は修士課程修了まで、親のお金でぬくぬくと生活しておりました。しかし、さすがに博士課程は自分のお金で通おうと決めていましたので、進学と同時に親の扶養を外れ、独立生計者となりました。よって、生活にかかる支出をすべて自分の収入源から払うことはもちろん、社会保険料を自分で納めなければならない環境となりました。そして、そのタイミングで両親は退職しました(父は再雇用を任期満了まで勤め、母は早期退職)。私が修士号を得るまで働いてくれた両親に感謝します。さぁ、それでは本記事のメインに参りましょう!

コストは修士時代より減る!?ー月12万円くらいー

 本記事の結論です。私の博士課程3年間にかかった支出合計を36か月で割り、1ヵ月あたりのコストを算出したところ、その金額は月120950円となりました。前回までの記事をご覧になった方は「???」となるかもしれません。なぜなら、私の修士時代にかかった月々のコストは約14万円でしたので、「減るの!?社会保険料も払ってんだから高くなるんじゃねーのか?」となりますよね。もちろん説明します!
 図1に私の博士課程でかかったコストの内訳を示します。

画像1

図1 カルフの (a) 大学院博士課程、(b) 大学院修士課程時代における生活費の月平均とその内訳
【備考】
学費:  基本的には年間学費の54万円 ÷ 12ヵ月 = 45000円
家賃:  通学は自転車で5分、徒歩15分、1K、8.6畳、
     風呂トイレ別、独立洗面台付き、共益費込み
食費:  1500円/日 × 30日(さすがに記録できていません…)
光熱費: 電気・ガス・水道代の合計、
     図S1に示す3年間のデータから月平均を算出
通信費: 携帯代 + ネット回線費、
     図S1に示す3年間のデータから月平均を算出
社会保険料+所得税:
     文字通り
     図S2に示す3年間のデータから月平均を算出

図1の(a)と(b)を比べてみて、一番違和感のある部分はおそらく学費ではないでしょうか?(a)の学費が3750円というのは一見異常でしょう(笑)。実は私が博士課程で納めた学費は4半期分の135000円だけなのです。これを36ヵ月で割ることで、月3750円という額がはじき出されました。ビジネス書3冊以下です(笑)。学費に関して詳しい方はもうお気づきかと思いますが、私が利用したのは「学費免除」です。博士課程進学以降、私は独立生計者でしたので、後段で示す私の収入では学費を納めるのが困難であるという判断がなされ、学費はD1-D3前期までが全額免除、D3後期が半額免除となりました。故に3年間で4半期分しか学費を納めなくてよかったのです。月々45000円→3750円ですからね。学費コストを90%以上カットできたことになります(笑)。
 他方、支出として新たに出現したのは「社会保険料+所得税」です。3年間の平均はキリよく月々20000円でしたが、この値の変動は個人的にかなり面白いので、参考資料の図S2をぜひご覧ください。勉強になるかと思います。さて、かかるコストが分かったので、次は収入に注目し、お金のやりくりを見てみましょう!

お金のやりくり

 私の博士時代の収入事情は少し変わっていたと思います。ざっくりと説明すると、

・D1-D2は「バイト代+RA+奨学金」で生活
・D3は「学振の給料」で生活

となります。まず、D1-D2について説明します。バイトは学部1年から続けていた塾講師です。RAはResearch Assistantの略で、私が日々行っている研究を「研究を手助けする研究員の仕事」とみなし、研究室が所有している研究資金から頂くバイト代のことを指します。そして奨学金は日本学生支援機構の第1種奨学金(月122000円)です。 次にD3時代の収入です。これはシンプルで学振のお給料です(学振をご存じない方は関してはこちらの記事をご覧ください)。
 詳しい収入の変化を図2に示しますので、見てみましょう。

画像2

図2 博士時代におけるカルフの収入の変遷

2017/04~2019/03までに示した収入の合計が2本あります。これは、私の奨学金の返還免除が関係しています。学振の獲得にあたり、2019/03で奨学金の貸与を終了したのですが、この際、運よく半額返還免除を獲得できました。したがって、奨学金の額は実質月々61000円を丸ごと頂けたことになりますので、これを反映した額を「合計(実質)」としています。改めて振り返ってみると、実は私の収入は学振獲得前後であまり変わらないことが分かります。巷には「学振の取れない博士は借金地獄になる」という噂がありますが、これを見るとそんなことはないですよね。ただし、RAとして月10万円近くも頂ける研究室はほぼないはずなので、ここは要注意です(私は強運の持ち主です笑)。

不安を可視化することが重要

 さて、本記事の内容は以上でほぼ終わりです。しかし、本記事を読んでいる方のうち、興味本位の方を抜けば、残るのは博士課程にかかるコストに多少なりとも不安を抱いている方ではないでしょうか。この記事を書くにあたり、私もおのずと修士後半時代を思い返しました。やはりコスト面は不安でしたよ。でも、教授から「RAとして月10万はかならず出す!」と約束されていましたし、奨学金をフルで借りれば月12万円が手に入ることが分かっていました。この時点で見かけ上、月22万円の収入があることは確定していたので、「生活は余裕だな」という確信がありました。さらに、学費免除にならなかった場合に3年間でかかる学費コストが年54万円×3年 = 162万円になることも計算することで、3年間でかかる最大のコストも把握済みでした。そのうえ、「最悪博士課程を辞めても、教員免許があるし、教諭になればいいかな?」ぐらいの気持ちも持つことで、精神衛生を清潔に保ちました(笑)。ここで言いたいことは、

・不安は可視化した方が良い

ということです。漠然と「博士=不安(定)」というイメージでうじうじ悩んでいないで、進学を少しでも考えるのであれば、具体的に博士課程にかかるコストを計算してみれば良いのです。実を言うと、私の大学は博士の学生が極度に少ないので、学費はほぼ免除&奨学金の半額返還免除はほぼ確定ということを学科の先輩たちや教授陣から伺っていました。不安があるなら、その元を冷静に捉えてみてはいかがでしょうか?

【参考資料】

図S1 博士課程時代にカルフが払った光熱費と通信費の変遷

画像4

図S2 博士課程時代にカルフが払った社会保険料と所得税の変遷
(学振獲得後、明らかに社会保険料の負担が増加。結果的に手元に残るお金は学振獲得前後であまり変わりませんでした。。。)

 今回も最後までお読みいただきありがとうございます。いかがでしたでしょうか?少し長くなってしまいましたね。でも、博士課程への進学を迷う当事者にとってはそれなりに有意義な記事になったのではないかと思います。応援していますよ。私は底辺の大学でもなんとかなりました。何か質問がございましたら、お気軽にコメントをしてください。ではでは~。