お越しいただきありがとうございます。カルフです。地方国立大の博士課程を修了し、現在は化学メーカーで研究開発をしています。先週、Twitterやオンラインイベントでいつもお世話になっている先輩研究者のノブさん(@chemordie)が今年度の子育て記録をnoteにまとめているのを発見しました。備忘録としてまとめてみたそうです。これを読んで「あっ、コレ良いな!」と思ったので、早速自分の1年目を振り返ってみることにしました(笑)。今回はいつもとテイストが違うかもしれません。「2020年入社の研究者はどんな生活だったんだろう?」と興味のある方の参考になるかもしれません。内容をざっくりと書き出してみると、
【3月】:修了、引っ越し
【4,5月】:入社、研修
【6月】:研究開始
【7-11月】:研究と勉強
【12月】:自分を客観視
【1,2月】:仕事ペースの鈍化
【3月】:業務による忙殺
となりました。のんびりと振り返っていきます!
3月:修了、引っ越し
9年通った大学を離れることに。自由気ままに研究できる時期が終わり、社会人目前。コロナで世間が騒ぎ始め、学振の研究費で予定していた最後の海外出張も前日にフライトがキャンセルとなりました。最後の思い出作りが出来なくなったのも残念ですが、引っ越し準備が終わり、だだっ広くなった部屋で寝ころびながら頭に浮かんできたことが強く印象に残っています。
「自分は本気で研究できたのかな?」
たぶん、もっとやれると思っているから出てきた言葉でしょう。でも、できなかった。そんな現実と向き合いながら、人生の1/3を過ごした第2の故郷を後にしました。
【4,5月】:入社、研修
私の社会人生活は実家で始まりました。同期一同が集まって研修など出来るはずもなく、9年ぶりの実家で粛々と研修を受けることに。大学時代の私と同じままだったら、暇を持て余していたかもしれませんが、3月に始めたTwitterや、この頃に見始めたYouTubebの影響で、
「仕事以外にも色々と挑戦してみよう!」
と思い立ち、能動的に過ごすことに。Twitterやブログ、読書を本格的に始めたのもこの時期です。とりあえず1年は続けることが出来ました。インプットとアウトプットの大切さが今になってよく分かります。また、他にも、社外の同期とオンラインイベントでワークをするイベントに手を挙げて参加したり、社内の同期とオンライン飲み会を主催したりと、積極的に動くことが出来ました。
家族や配属先の先輩からは、「今年の新入社員は気の毒だね」と言われることが多かったのですが、私は、
「そうかな?能動的な人間にとっては良い世界ではないか?」
と感じていました。今もそう思っています。おそらく2021年入社の新入社員も同じような環境になるでしょう。ぜひ、能動的日々を!
【6月】:研究開始
世間で在宅勤務が広がっていく中、実験をしないと仕事にならない私(笑)も遂に出社することに(時系列は少しボカしています)。2か月間ゆるふわ研修を受けていたので、「職場でも研修が、あるのか・・・?」と勘ぐっていましたが、出社初日から3hかけてガッツリとテーマ説明を受けました。おかげで同期たちが足早に帰路につくなか、私だけちょっぴり残業(笑)。でも楽しかったです。実験にもその週の内に取り掛かりました。
「あ~、企業での研究が始まったんだ」
と実感。そして、もう1週間もすると、
「実験を、実験をさせてくれ~」
と企業研究者の悩みを早々に感じ始めました(笑)。入社前のイメージよりかは実験時間が確保できていたものの、残業時間の制限と、書類関係の仕事でやはり大学の時と同様にはいきません。ただ、企業で無事研究を始められたことで気持ちが高揚していたことをよく覚えています。この時の高揚をいつまでも胸に持ち続けたいものです。
【7-11月】:研究と勉強
企業での研究の勝手が分かってきたので、どんどんと研究を進めることに。上司の監視も少し緩くなり(笑)、自分の裁量で研究を進められるようになりました。同時に、勉強すべきことが山のように出てきました。
「テーマで扱っている現象の基礎は?論文は?資格試験の勉強は進んでる?次の実験をするために必要な書類は?」
いわゆる「勉強」を社内で行う時間は非常に限られます。必然的に家でも勉強をすることに。製造系配属の同期とライフスタイルが明確に違ってきたのもこの時期かなと思います。
「家でも仕事するの?(笑)」(意訳)
と言われることが多かったのですが、同じ研究所配属の同期たちの意見は私と似たようなもんです。
「君たちの知的好奇心は業務時間内で完結する程度なのか?」(意訳)
研究者か否かを分ける部分だと思います。家族を持たず、自分の時間がたっぷりとある半端者の戯言かもしれませんね。いつか私にパートナーが出来た時、同じセリフを言えるか見ものです。
【12月】:自分を客観視
12月は社内でのイベントが多かったです。社内での発表会を聞いたり、自分が出身大学の後輩に向けて会社紹介をしたり、自分を客観視する機会に恵まれていたように思います。この時期に私が思ったのは、
「あれ、今年の自分は成果を出せていないのでは?」
でした。ちょうどこの時期に上司から似たような内容の指摘を受けたのも大きかったと思います。もちろん、パッと見の成果らしい成果は残していました。上市に近づく結果を出しましたし、チームを動かすデータも出しましたが、上司の指摘がしっくりきたのは、
「自分の期待ほどは成果が出せていない」
からだと思います。自分の実力を見誤っていたんだろうか?年末にやっと帰ってきた実家で、齢90をとうに超えた祖父と静かに将棋を指しながら、そんな風に自己肯定感を下げていたことを覚えています。そして、年が明けました。
【1,2月】:仕事ペースの鈍化
年末で仕事の1つが区切りを迎えたことや、12月にちょっと萎えていたこと(笑)から、年明けは仕事のペースが落ちていたように感じます。やろうと思えば、もう少し実験を詰め込めたはずです。でもあっという間に1月が行き、2月が逃げていきました。上手く言い表せられないのですが、
「ソツなく業務をこなす」
状態だったと思います。良くないですね。もっとこう、燃えていかないと(笑)。
現時点で振り返ると、12~2月の気持ち低迷期は運動量の低下と相関があるように思います。秋までは業務後にランニングの時間が取れていましたが、冬になり、日が短くなってからは部屋の中で少し体を動かす程度に収まっていましたから。ただ、それだけを言い訳にもできません。しっかりと立て直していきたいですね。
【3月】:業務による忙殺
さて、今月に入ってから、新しく始まった仕事の1つが本格的に忙しくなってきました。大きくて新しい実験系となるので、社内外の広範囲と頻繁に連絡をとる必要があり、それらを1人で行うことにすごく神経を使っていました。今冷静に考えると、これだけ重要で大量の仕事を「全てカルフ君に任せる!」と言ってくれた上司は、器が大きいのか、丸投げだっただけなのか、よく分かりませんね(笑)。ただ、よく仕事の出来る方なので、「仕事の振り方が上手い」と捉えるようにしています。
この1ヵ月に思ったことがあります。それは、
「自分は他の人と連携を取ることに長けているな」
ということです。コミュ力と言うのでしょうか?チームの人に気持ちよく動いてもらうために色々と手を打つことが出来ていたと思います。そして、同時に、
「自分は研究に向いているのかな?」
という疑問も浮かんできました。ただ、決してマイナスイメージではなく、自分が能力を発揮できる職種を冷静に考える過程で出てきた疑問です。これに関しては数年単位でじっくりと向き合おうと思います。とりあえず、新しい実験でクタクタになる日々が見えているので、マネージャーとプレーヤーの自分をうまく使い分けられるように訓練しようと思います。
最後に書籍の紹介コーナーです。入社してから間もない時期に読んだ有名な本です。「研究に携わる者として、もっと、もっと早く出会いたかった!」と感じた一冊。まだ読んだことのない方は是非。今を生きる偉人の頭の中を覗けるという最大級のコスパを誇ります。口コミもチェックしてから自分に必要か判断していただければと思います。
【Amazon】イシューからはじめよ ― 知的生産の「シンプルな本質」
最後までお読みいただきありがとうございます。数年後の自分がこの記事を見て何を想うのだろう。研究は大好きです。出来ることならずっと研究をしていたい。でも、どうだろう。「やりたい事とできる事は異なる」と思っているので、クールに自分の実力を見極めたいです。とにかく日々前向きに!自分に最も期待するのは、常に自分でありたいものです!ではでは~。
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