お越しいただきありがとうございます。カルフです。地方国立大学の博士課程を修了し、現在は大手化学メーカーで研究開発をしています。新たな年となり、年度末が近づいてきましたね。この時期に思い出すのはやはり研究室で書いた卒・修・博論です。執筆の必要がある研究室所属の学生のみなさん、あと少し頑張ってください。ご自身の研究の集大成をしっかりと残しましょう。さて、修論のような比較的長い文書をMS Wordで作成する際、「参考資料」タブの便利な機能を使いこなしているでしょうか?「参考資料ね、便利だよね~」と思った方はさすがです。その調子で駆け抜けてください。一方で、もしも、「参考資料?ナニソレ、おいしいの?」となった方は本記事を是非ご一読ください。執筆過程で必ず経験する ”イライラ” がなくなると思います。内容を先に挙げると、
・「図表番号の挿入」と「相互参照」
・「文末脚注の挿入」と「相互参照」
・「めんどくさい」と思ったらググろう!
です!それでは1つずつ見ていきましょう!
「図表番号の挿入」と「相互参照」
修論のような長い文書では多くの図が使用されるはずです。その際に非常にめんどくさいことが以下の2点だと思います。
・新たに入れる図の番号を考えないといけない
・図を割り込ませる場合、以降の番号を全て振りなおさないといけない
前者は一気に執筆する場合、それほど大きな問題にならないかもしれませんね。ただ、日を改めて執筆した際は意外と番号を忘れていたり、1つ前と同じ番号の図を振ってしまったりするものです。そして、後者が最もイライラするポイントだと思います。「完璧、ドヤっ」と教授に出した修論に対して、教授から「緒言のここにあの図を入れよう」とか言われたら、もう地獄です(笑)。章番号を含めた番号構成なら被害は最小限なんですが、文書全体に連番を振っていようものなら、目の前が真っ暗になります(笑)。
このような事態に陥らないよう、初めから「図表番号の挿入」と「相互参照」を用いて文書を作成しましょう。これらを使うと番号は自動で振ってくれますし、途中に新たな図を放り込んでも以降の番号を全て振りなおしてくれます。図を使って説明していきますね。
「図表番号の挿入」と「相互参照」は「参考資料」タブの中にあります。まずは、キャプションを作成したい図を選択した状態で「図表番号の挿入」をクリック。
図表番号というウインドウが開くので、ここでキャプションの種類を決定します。今回は「Figure 」を選択しています。デフォルトで「Figure 」は存在していないので、「ラベル名」というところから、自分で「Figure 」を作成しました。これで「OK」を押すと最初の番号である「Figure 1」が作成されます。番号の種類(I, II, III…や、a, b, c…等)は「番号付け」から選べます。
これでFigure 1が作成されましたね。
あとは図を挿入するたびに「図表番号の挿入」を押すと連番でキャプションを作成できます。下の図はFigure 2まで作成したところです。
文書中に図を挿入した場合、その図に関して本文中で言及する必要があります。ここで、手入力で「Figure 1」と打ち込んでしまっては、せっかく「図表番号の挿入」を使った意味がありません。あとでキャプション番号に変更があっても本文中には反映されませんからね。そこで使用するのが「相互参照」です。これは文書中に自動で番号が振られているアイテムに関して、その番号とリンクした文字列を挿入する機能です。
まずは「参考資料」タブにある「相互参照」をクリックして、相互参照ウインドウを開きます。そして、参照する項目を「Figure 」、相度参照の文字列を「番号とラベルのみ」にして、挿入したい番号(ここではFigure 1)を選び、最後に「挿入」を押します。
これで本文中にキャプション番号が挿入できましたね。このままでは本機能の威力が感じられないかもしれません。しかし、Figure 1とFigure 2の間に図を割り込ませる際に真価が分かります。実際に放り込んでみましょう。
Figure 1, 2の間に新たな図を挿入し、その後同様に「図表番号の挿入」と「相互参照」を入れてみます。すると、間に入れた図がきちんとFigure 2となり、さきほどまでFigure 2だった部分がFigure 3に自動で更新されます。
いかがでしょうか?これらの機能を使って文書を作成すれば、途中で図を割り込ませる場合にもストレスフリーで対応することが出来ます。以下はワンポイントアドバイスです。
Q 番号が更新されない
A 番号を更新するには「フィールドの更新」が必要です。適当な部分でctrl + Aを押して全選択し、右クリックして「フィールドの更新」を押してみましょう。
Q 正しく連番表示されない
A 図を横並びにしていませんか?横並びにした際は少し注意が必要です。番号は、図の「アンカー」の位置に依存します。図を選択した際に本文左に出現する「アンカー(イカリのマーク⚓)」をドラッグさせて、横並びの図のアンカーが上下に配置されるようにしましょう。
Q 毎回キャプションのフォントサイズを変更するのが面倒
A 「スタイル」を設定しておきましょう。1度設定すれば、以降で変更の必要はありません。下のツイートをご覧ください。
「文末脚注の挿入」と「相互参照」
論文に欠かせないが引用です。たたき台の作成後に新たに引用を足したり引いたりする作業は、図のそれよりも多いのではないでしょうか?ここでも「番号振り分け問題」が発生します(笑)。それを解決してくれるのが「文末脚注の挿入」です。概念は図表番号の挿入と同じですので、基本的な使い方はサラッと流してしまいましょう。
同じ番号の引用を本文中で再び使う際は「相互参照」から挿入します。図表番号の時と同じですね。図表番号の部分で感覚をつかめた方は、これで基本的な使い方はOKだと思います。ただ、引用ならではのポイントがあるので、少しだけ解説しておきます。
Q 同じ文に対して3つ以上引用がある場合は?
A これ困りますよね(笑)。ずばり、「隠し文字」を利用して切り抜けましょう。これは、編集画面上では見えているが、印刷の際にはその部分を表示させないようする機能です。簡単に使えます。
Q 境界線にある謎の線が消えません
A コレ本当に邪魔ですよね(笑)。消し方を以下のツイートにまとめたので、こちらをご覧ください。MSの方、デフォルトで消しておいてくれませんか?
Q いちいち「参考資料」タブに移動するのがダルい…
A 「クイックアクセスツールバー」を使いましょう。まだ使っていない!?それはヤバい!すぐに使いこなしましょう!知らない人にはこれが本記事で一番有用かも(笑)。クイックアクセスツールバーは一言で言えば、機能のブックマークです。このバーはどのタブを開いていても、常に表示されているので、登録した機能はいつでも使用することが出来ます。私がPCを替えた際にはすぐに設定します。使っていない人は損しすぎです。今すぐ自分色に設定しましょう(笑)。
「めんどくさい」と思ったらググろう!
さて、ここまでで本記事で紹介する機能は終わりです。ここからはマインド的な話です。私が初めてこれらの機能を知ったのはM1の時でした。きっかけは、研究室内の検討会資料を作っている際に、「最近図が増えてきたから番号振るのめんどくせーな。何とかならんのか、コレ?」と思ったからです。そこで、ググってみたんですよね、「Word、図表番号、自動」と。そしたら、有用な情報がまぁいくらでも出てくるんです(笑)。私程度の人間がめんどくさいと思うのですから、そんなものは偉大な先人たちが解決してくれているのは当然かもしれません。しかし、私の周りにこれらの機能を使いこなしている人は1人もいませんでした。「資料作り、終わらね~。」と言いながらダラダラと夜遅くまで効率の悪い作業をしていたと思います。これでは作業効率は一向に速くなりません。
私は、「大学院の研究室に在籍している間は、作業効率を上げないといけない」と考えています。わざわざ社会に出るのを2年以上も遅くしたうえ、仕事が遅いと使い物になりません。それに、デスクワークが遅いと、本業の実験やそれに関連する作業に割く時間が限られてしまいますので、必然的に院生としての能力は上がりません。よって大学院生の方には、「めんどくさいと思ったら、解決策がないかググってみよう!」と伝えたいです。単位時間あたりに行える仕事(仕事率)をどんどんと上げていきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございます。いかがでしたでしょうか?本記事であなたの作業効率が上がれば幸いです。普段からTwitterの方で情報発信をしていますので、よろしければフォローをお願いします。質問等があればお気軽にどうぞ!ではでは~!
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