お越しいただきありがとうございます。カルフです。地方の国立大学博士課程を経て、大手の化学メーカーで研究開発を行っています。先日以下のようなツイートをしました。
すると、いつもより少しだけ反響があったので、記事にしようと思いました。このアイデアが浮かんだのは、Twitterで知り合った方たちとのオンライン会談中に、大学院進学(特に博士課程への進学)を考えるにあたって、コスト面での不安を抱えている方が多いことを知ったからです。そして、私は大学に在籍していた9年間にかかった生活費を大体記録していたので、「これを公表すると誰かの助けになるかも」と考えました。進学するごとに環境が変わるので、何回かに分けてご紹介しようと思います。今回は学部生時代のデータのみとなります。今回の記事が参考になるのは、
・コスト面から志望する大学を検討している高校生
・大学進学希望のお子さんがいらっしゃる親御さん
・大学院進学を検討している理系学部生
・カルフの大学時代が気になる方(大歓迎です笑)
あたりだと思います。そして、今回の記事の内容を先に記すと、
・私が置かれていた環境
・私の大学生活費は月14万円くらい
・お金のやりくり
・私が当コストを振り返る中で感じたこと
です。それでは1つずつ見ていきましょう!
私が置かれていた環境
まずはここを知っておいて頂かないと、納得できない部分が出てくると思いますので記しておきます。私が置かれていた環境をざっくり書き出してみると、
・ド田舎の国立大学理系学部
・両親は共働き(世帯年収1400万円程)
・私は3人兄弟の末っ子
・入学時に兄2人は既に就職して家を出ていた
となります。ド田舎と書きましたが、どれくらい田舎かというと、2020年3月の時点でも、県庁所在地名の鉄道駅に自動改札が未だ導入されていないくらい田舎です(笑)。あとの3項目を見ると、自分がいかに恵まれた環境にいたのかを思い知らされます。さて、それでは本題に移りましょう。
私の大学生活費は月14万円くらい
結論が出ました(笑)。私の大学生活費は月14万円ほどでした。分かってます!これだけ見ても薄いですよね(笑)内訳をきちんと見ましょう!図1に私の大学生活(学部生4年間)費の月平均とその内訳を示します。
図1 カルフの大学生活(学部生4年間)費の月平均とその内訳
【備考】
学費: 年間学費の54万円 ÷ 12ヵ月
家賃: 通学は自転車で5分、徒歩15分、1K、8.6畳、
風呂トイレ別、独立洗面台付き、共益費込み
食費: 1500円/日 × 30日(さすがに記録できていません…)
光熱費: 電気・ガス・水道代の合計、
図S1に示す4年間のデータから月平均を算出
通信費: 携帯代 + ネット回線費、
図S1に示す4年間のデータから月平均を算出
ネット上には、学費に関する情報は無数に転がっているのですが、生活にかかる費用込みで算出したデータがほとんどないなと感じていました。そこで、私は家賃、食費等の生活費と学費込みの値を提供してみました。図1より、月14万円ほど捻出すれば大学には通えるということが分かりました。あとここに入っていない内容としては、
・初年度は入学金が28万円かかる
・教科書代に最低でも年2万円はかかる
ことが挙げられます。これらを考慮して月平均を修正すると149500円となります。月に約15万円、年間で180万円、4年間で720万円ですね…。やはり大学に通うのはお金がかかりますね。加えて、図1には遊行費が入っていません。お金のかかる趣味をお持ちだと、もっと必要になります。
お金のやりくり
さて、私が大学に通うために月15万円かかっていたことが分かったので、次はこのお金をどうしていたかという話をしようと思います。まず、お金がかかるのであれば、稼がねばなりません。バイトだ!私はB1の秋からD2の3月まで7年半塾講師(個別指導)をしていました。そして、そこで得たお金もすべて記録していました(笑)。B1-B4までの1ヵ月の平均給与は、、、
3万円
でした(図S2を元に算出しました)。少ねえぇ!すべてを生活費に充ててもまだ12万円足りません。このお金をどうしていたのか?白状します。
私は全て親に出してもらっていました。
大学の生活費の15万円は親に出してもらい、部活の遠征費・嗜好品・遊行費はバイト代の3万円で何とかするという形でした。
ここまで読んでいただき、「うちは月15万円も出せね~よ」という方、いらっしゃいますよね。私も学科の友人に全ての費用を自分でなんとかしている強者がいました。ただ、バイトしまくってこの額を補っても、親の扶養から外れてしまい、国民健康保険に入る必要がでてきたり、親が払う税金が増えて怒られる…というややこしい事態になってしまいます。そこで、今の私が親の援助を全く受けられずB1に戻ると仮定すると、大きく分けて2つの策を考えます。それは、
・コストを削減する
・奨学金を借りる
です。当たり前かもしれませんね。コスト削減では、まず学費免除申請を行い、ここを0にします(簡単に言うな)。そして、大学の寮に入り、家賃を半分にします。もしくは安いアパートを探します。正直私の住んでいたエリアで家賃が月38000円は結構良い物件なんですよね。周りに家賃2万円台の家はごろごろありました。学費・家賃を下げるだけで、月にかかる費用は8万円弱まで圧縮できます。
ここで注意したいのは、「光熱費や通信費を節約してもあまり意味がない」ということです。どういうことかというと、図1から、光熱費と通信費はそれぞれコスト全体の5%しか占めていないことが分かります。よって、仮に両方を0にした(暮らせませんが(笑))ところで、全体のコストは10%しか削減できません。よって、他のコストを削減した方が堅実だということです。レジ袋を削減しても海洋プラスチックごみが減らないことと同じですね。
さて、もう1つの策である奨学金についてです。日本学生支援機構の第一種奨学金(無利子)なら、月5.1万円(国公立、自宅外通学)を借りられます。第二種(有利子)なら最大で月12万円を借りられます。そして、第一種と二種は併用できるので、これを最大限活用します(家計基準がありますが)。正直コスト削減した後の8万円ならバイトだけで何とかできる額ですし、第一種+バイトなら私の過去のバイト料でも月8万円は捻出できる計算です。だいぶ強引に話を進めましたが、親からの援助が無くても大学に通えるようになりましたね。
ちなみに、他の環境下だったらどうなるかを少し乱暴に計算しましたので比較してみましょう。図2にコスト比較を示します。
図2 大学の種類、大学のエリア、住居の違いによるコスト比較
【備考】
・食費+光熱費+通信費は一定と仮定(どこにいても掛かるだろうと…)
・都会の家賃は6万円(根拠なし、エリアによって幅がありすぎる…)
・私立の学費は文部科学省の調査結果を元に算出(理系学部です)
やはり国立×実家が強すぎますね。月10万円程ですか。そして、首都圏で1人暮らしでも国立大に通うのであれば、そこまで大きなコストはかからないということですかね。一方で首都圏で1人暮らしをしながら私立大学に通うには月25万円近くかかってしまいます。ここに関してはあまり無責任に言えないので、実体験をお持ちの方に直接お話を伺いたいところです。何かあればコメントをください!
私が当コストを振り返る中で感じたこと
ここまで色々と書きましたが、私が学部生時代にコストに関してここまで深く考えていたかというと、そんな訳がない。ただし、親のお金で大学に通えている自覚はあったので、とにかく講義はサボらないとは決めていましたし、試験でも真面目に点を取りにいっていました。こう思えたのは、大学入学時に親から言われたことが印象に残っていたからです。私が1人暮らしをする大学に通うことになった際、
「私たちは、今まであなたを1人暮らしができるように、そしてお金の大切さが分かるように育ててきたから、何も心配していない。全部出してやる!」
と言われたんです。「これは裏切れないな」と思いました。確かにガキんちょの時からお小遣い帳への記入は厳しかったし、家事、料理は1通りできるように育てられていました。親、おそるべし!私はこの一言を頭の片隅に置きながら大学生活を送りました。その結果、4年間で179単位(卒業要件は124単位です…)を取りながらも首席でいられましたし、博士課程進学への足掛かりができたのだと思います。そして、1人暮らしをすることで本当に色々なことを学びましたし、今までしてもらっていた家事をすべて自分で行うことで、親のありがたみを感じました。だからね、これから大学進学する方や、現在親のお金で大学に通っている学部生の方は、精一杯勉強をしてほしいと思います。大変な時代ですが、主体的に学べる人はまだまだAIには負けないはずです。
一方で、この記事をご覧になっている親御さんがいらっしゃったら、お子さんには大学時にぜひ1人暮らしをさせてあげてほしいです。そして、そのためには大学入学時までの教育が非常に大切だと思います。いつか自分が子供を育てるようになったときも同じ気持ちを持っていたいものです。
【参考資料】
図S1 学部生時代にカルフ(の親)が払った光熱費と通信費の変遷
図S2 学部生時代にカルフが得たバイト代の変遷
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。いかがでしたでしょうか?正直今回の記事では需要の高い部分をカバーできていない気がします。私のような人間の気になるところって、大学院進学以降の部分かと思いますので、近いうちに大学院バージョンを出したいと思います。結構面白い内容になるはずなので、楽しみにしておいてください。ではでは~!
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