【合格体験記】高圧ガス甲種化学(資格内容・難易度・勉強時間・勉強法)

 どうも、カルフです。地方国立大の博士課程を経て、現在は化学メーカーで研究開発をしています。最近「高圧ガス保安管理責任者甲種化学」の国家試験に合格しましたので、本記事はその合格体験記となります。本ページにたどり着いた方は、
 ・「高圧ガスを取れ」と言われたけど、どんな試験なの?
 ・どれくらい難しいの?
 ・スケジュールは?
 ・どのような勉強が必要?

と思っている方だと思いますので、基本的な部分から1つずつ説明していきます。それでは見ていきましょう!

「高圧ガス」とは?

 化学業界人が言う「高圧ガス」とは、正確には高圧ガス保安協会が試験を取りまとめている「高圧ガス製造保安責任者」という国家資格のことです。充填圧力が1 MPaを超える"圧縮ガス"や、0.2 MPaを超える"液化ガス"を、製造したり、売ったり、運んだりすることには常に危険が伴いますので、安全に遂行するためには管理者が必要です。特に製造現場では規制が厳しく、常に人数を確保しておかないといけない「保安係員」にも資格の保有が求められます。ゆえに、メーカーの製造現場に配属が決まった業界人にとってはかなり重要な資格です。私は研究所勤務なので、業務で必須というわけではないのですが、職場の慣例で取らされました。これで配置転換されても大丈夫(笑)。
 本資格は危険物と同様、扱うガスや現場のガス処理量に応じ、色々と種類があります。カバーできる業務の範囲の広さ順に甲・乙・丙と分かれており、甲乙はさらに試験の内容によって「化学」と「機械」の2種類に分かれますので、その数は計5種類です。試験内容は異なりますが、担当できる役割は化学と機械で違いはありません(「じゃあ一緒にしろよ」と思いますが、法律を変えないといけないので、メンドーということで40年以上ほったらかしみたいです(笑))。私は化学系が専門ですし、職場の「甲種以外認めん」という謎のノリもあったので、「甲種化学」を受けました。

【リンク】高圧ガス保安協会「国家資格の概要及び職務範囲」

取得条件と難易度

 申し込みや受験の日程を整理したものが下図です。

 本資格はシンプルに「国家試験」に合格すれば取れます。国家試験は、法令・学識・保安管理技術の3つに分かれており、3つ全てで6割以上の正答率を取ることで合格です。6割と聞くと余裕な気もしますが、いずれも問題の範囲が広い上、「学識」は資格試験では珍しい筆記試験であるため、難易度は高めと言えます。法令と保安はマークシート方式です。また、科目合格の制度は無く、不合格だった場合、翌年は再度全ての科目を受験する必要があります。
 合格率と難易度は正確にリンクするわけではありませんが、参考までに過去5年間(2016-2020年)の合格率を示すと、法令・学識・保安の3科目全てを受けた人で14.6%~28.3% です。まあまあ低いですね。受験のチャンスは年に1度ですし、社会人ばかりが受ける試験でこの合格率は難しいことを表していると言って良いと思います。実際難しかったし(笑)。
 ここまで聞くと「難しすぎだろ」と感じた方が多いと思います。正直その通りで、それは協会も認識しているようです。そこで、「講習・検定」というものが用意されています。これは協会が主催している3日間の講習を受講した上で、その検定試験に合格すれば、国家試験の科目から学識と保安が免除されるという制度です。つまり、国家試験が法令のみとなるので、難易度が一気に下がります。また、この講習では講師の方がその年の検定で出題される問題のジャンルを結構教えてくれるので、膨大な出題範囲から的を絞って勉強を進めることが出来ます。実際、このルートでの過去5年間の国試合格率は86.7~91.5%と非常に高いです。ただし、検定試験自体の合格率は40.7~56.4%なので、まずは検定突破が重要となります。私も検定合格からの国試法令のみのコースで合格しました。

勉強時間

 上述した通り、私は検定ありのルートでしたので、それぞれに費やした勉強時間を記します。

検定試験(学識・保安):3週間
  平日2h、土日3h ⇒ 計40hくらい

国家試験(法令):1ヵ月
  平日1h、土日0h (笑) ⇒ 計20hくらい

経験談と勉強法については次節でお伝えしますね。

経験談と勉強法

【講習受講~検定試験】
 講習を受けてから検定試験までの間は1ヵ月くらいしかありませんので、本来講習が終わり次第、すぐに試験勉強を始めなければいけません。しかし、私は講習受講後に一旦休憩時間に入りました。それはなぜかというと、

とにかく講習がだるい!(笑)

社会人になってから丸一日の座学、それも「ハイ、ここ重要でーす。試験に出るかもしれませーん。」という昔のファンタのCMみたいなもの(伝われ!(笑))を3日間も受けるので、受講後は抜け殻のような状態になります。よって、何もしないダラダラ期間が1, 2週間必要でした。緊急事態宣言中でしたので、違う部署の同期から「アカン、部署から受験自体を止められた。オワタ。」と聞かされていたため、「これは自分も受けられないな。」と高をくくっていたことも理由の1つです。その後、私の部署は受験可能という方針が決まったので、「勉強せなアカンやつやん…」となり、本腰を入れることになりました。
 勉強法はいたってシンプルで、過去問のやりこみです。ただし、進め方は少し変わっていたかもしれません。まず、学識の計算問題には国立大の2次試験~大学基礎講義レベルの物理と化学の知識が必要です。過去問集の簡素な解説のみでは分からない問題が多いので、1周目は過去問を一気に解き進める感じではなく、テキストを使いながら一門ずつ確実に理解していくことを意識して進めました。特に私のような学力の低い人間には、問題の概念を理解して解くことが重要です。最終的には3周したところでタイムアップでした。本当は5周したかったのですが、時間切れです。
 一方で、保安管理技術の方は暗記科目なので、講習で聞いた範囲のテキストを読み込んでから過去問を解く、という流れで覚えていきました。しかし、過去問をやっていると、講習で聞いた「今年はここが出るよ」という範囲外からバンバン出題されるので、全く解けずにかなり焦ります。1周目の正答率は2割でした。メンタルを削られつつも、保安の過去問は最終的には5周しましたね。結果的に、講習で聞いた範囲を重点的に抑えておき、過去問から満遍なく知識を吸収している状態になったので、この勉強法で良かったと思います。ギャンブラーは講習範囲に全振りでどうぞ!(笑)
 本番の検定試験を受けて、「まぁ何とかなったでしょう。」という手ごたえを得ました。そして無事合格!

【国家試験】
 検定合格のおかげで国家試験は法令のみとなった私。8月に申し込んでから、「時間があるし、ヨユーやな」となり、10月半ばまでダラダラしていました(笑)。そして、国試1か月前からようやく勉強開始。しかし、始めると気付くのですが、

法令の勉強、絶望的におもんない…

これも暗記なのですが、保安管理技術と違って理系の頭を使わない科目なので、勉強していて全く面白くないんですよね。とは言っても、勉強しないまま過去問を一度解くと、これまた正答率2割…。焦りましたが勉強のモチベーションは上がらず、平日の行き帰りの通勤時間にしか勉強しませんでした。それでも何かを1ヵ月続けるというのは偉大で、過去問を3周する頃に6割、4周目で8割、5周目で9割くらいに到達(5周なら10割いくだろというツッコミはご容赦ください)したので、これにて完了。
 過去問で9割くらい解ける状態だったので、本番の試験も落ち着いて解けました。合格発表は2か月先ですが、問題と正解は数日で公表されるので、早々に自己採点をして8割ほどの正答率を確認。その後、無事に合格しました。

これから「高圧ガス」の取得を目指す方へ

 最後にこれから高圧ガスの取得を目指す方へメッセージです。お伝えしたいのは以下の2点。

・ムズいとは言え、落ちたらデメリットがあるので本気で勉強!
・過去問を解き、理解を深めれば、十分合格できる!

業界ではそこそこの難易度と言われる高圧ガスです。実際社内でも落ちたことのある人を結構見かけます。また、受験料や受験にかかる交通費等は会社持ちの方がほとんどでしょう。よって、落ちたら本人への打撃は少ないように感じますが、そこは要注意です。講習は平日に開催されるので、業務時間が丸々3日間消えますし、勉強にかかる時間的コストもかなりかかります。それを平気な顔してドブに捨てられると、会社や周りからの評価はどうしても低くなるでしょう。あの面白くない期間が来年もあるかと思うと、私はやってられません。どうせ受けるなら1発合格を目指しましょう!
 また、学識では久しぶりに筆記試験を受けることになるので、私のような受験に苦い思い出のある方には大きな試練となる可能性があります。実際私はかなり不安でしたし(じゃあなぜダラダラ期間が…(笑))。しかし、過去問を解きながら自身の理解が及んでいない部分を冷静に見極め、テキストを読んで理解を深めていけば、確実に合格ラインに到達できます。当たり前の話なんですが、私のようなタイプはその「当たり前」が出来ないからこそ、受験で苦い想いをしたのだと考えています。過去の自分と決別する「高圧ガス」となれば良いですね!(大げさ(笑))。

最後までお読みいただきありがとうございます。久々の筆記試験で苦しい日々が続きましたが、何とか1発で合格することができて安堵です。少し長くなってしまいましたが、これから取得される方の一助となれば嬉しく思います。ではでは~。